(独)国立健康・栄養研究所 「健康食品」の安全性・有効性情報

世界保健機関

「微小循環について」

「微小循環」について、簡単に説明します。
病気の予防や治療にとって、血液の循環とくに末梢にある微小な毛細血管が大切である。その根拠として、ある質問に答える形で、次の二点をあげます。
ひとつは「どうして血液を循環させることが大切なのか」という質問に対する答えです。
「生命活動を維持するためには、血液を循環させる必要があるからです。生きていくために必要な酸素や栄養素を各細胞や組織に運び、そこでいらなくなった二酸化炭素や老廃物を運んで帰ります。これがうまくいかなくなったら、病気になりやすくなって、やがて死んでしまいます。 つまり、微小循環の血管は、交換血管なのです。」

もうひとつは、「血液の循環はどのように行われるのか」ということです。
「血液は心臓の左心室から動脈―製動脈―微小循環―細静脈―静脈、そして右心房に還っていくという循環を絶えず行っています。
この中でいちばん重要な働きをするのが、微小循環であり、心臓は血液を送り出すポンプにすぎません。
このことは、医学部で使用している生理学の教科書にも、『微小循環こそ循環系で最も本質的な役割を演ずる部分であり、心臓や太い血管は微小循環に適切な血液を供給するための補助装置である。全身の細胞の生活条件は、微小循環によって直接規定される。微小循環の障害は当該組織の機能不全を引き起こし、障害の部位と広さによって生命喪失いつながる』と書かれています」

病気の人と健康な人の微小循環を比較すると、「病気の人は、血液の流れで赤血球や白血球、血小板といった血球成分の流れが悪いのです。とくに、赤血球の流れが悪いと、人間にとって一番必要な酸素が運ばれません。いくら鼻や口から酸素を吸っても、末梢の細胞や組織にはすべて届くわけではありません。」

「“血液が身体の隅々までうまく流れていなくて、末梢の血流が悪くなっていた。つまり、血液が末梢の毛細血管まで流れていなくて病気になっていた。“このことを自覚することが大切です。そして、血液さえうまく身体の隅々まで流れていれば、健康を取り戻せる可能性が高まるのです。」


※「新生理科学大系 循環の生理学」より抜粋

「微小循環血流について」
毛細血管床とその輸入、輸出血管である細動脈、細静脈を一括して微小血管系と呼ぶ。狭義の微小循環とは微小血管系の血液の流れを意味する。しかし現在一般に用いられる微小循環の概念はさらに広く、微小血管系内の血流に加えて、系内血液-間質液-組織細胞間の物質移動、間質液の流れとリンパ系を通じての輸送などをも包括する。
血液循環の主目的が生体内部環境の維持、すなわち全身の各組織細胞に対する生活物質の供給と代謝産物の除去にあることを考えるならば、微小循環こそまさに循環系で最も本質的な役割を演ずる部分であり、心臓や太い血管は微小循環に適切な血流を供給するための補助装置であることが理解されよう。
全身の細胞の生活条件は微小循環によって直接規定される。微小循環の障害は当該組織の機能不全を引き起こし、障害の部位と広さによっては生命の喪失につながる。
この意味において微小循環の世界は、その名称から想像されるような“微小な”存在どころではなく、個々の細胞からその結合体としての個体の生命維持を直接左右する“巨大な”システムである。

「すべては代謝が肝心」
「代謝には大きく分けて水分代謝、酸素代謝、栄養素代謝の三つの代表的な代謝があります。
 この三つの代謝を同時に正常化させ作用が必要です。


この中でも酸素代謝が水分代謝や栄養代謝を促進させます。
ですから、健康のすべては、体内で行われる代謝が左右します。
『美味しいものを食べて栄養をとることが大切』と、よくいわれますが、栄養は血液が運びますから、スムーズに血液が流れていることが必要なのです。
血液は当然、微小血管までスムーズに流れていると思われがちですが、実は意外に滞っている人が多いのです。
微小循環(毛細血管)は2~12ミクロン
平均6ミクロンで、その中を直径8~10ミクロンの赤血球や25ミクロンの白血球などが形をかえながら流れます。

血液の濃度は、コンデンスミルクとほぼ同じですが、それほど濃いのにもかかわらず高い流動性があり、普通の液体のように流れます。血液の循環は身体の大切な細胞や組織に代謝活動を支えています。しかし、この循環が滞ると、いろいろな臓器に影響を与えはじめます。東洋医学でも、このことを『瘀血』といって重要視しています。」

「瘀血(おけつ)」とは
「瘀血」という言葉は、血液の粘りが高くなり、流れにくくなっていることをいいます。血液がうまく流れないと、体は当然弱ってきます。
血液は全身に養分を届け、全身の老廃物を回収してくるのが役目です。この血液が変質(粘度が増す)すると、血液が流れにくくなり、血管も老化(硬化)してきます。

この「瘀血」によって、微小循環が阻害されて静脈血の酸素分圧が低下すると、頭痛、肩こり、胸痛、腹痛、関節痛がおこります。
さらに子宮筋腫、皮膚の硬化、精神障害、糖尿病、痛風、気管支喘息、慢性肝炎、関節リウマチ、高血圧、心筋梗塞、脳血栓などの症状が見受けられます。
以上の症状の改善のためには、ドロドロした血液をサラサラにして血の流れを回復させていくことが大切といわれていますが、その回復させるのはどの部位かというと微小循環です。
食事で血液がきれいになれば、必然的に血流も改善すると思いがちですが無理です。生薬の中にも駆瘀血剤(くおけつざい/瘀血を改善するために調合した薬剤)というものがあり、慢性病に対応する漢方薬には必ず入っていますが、最も有力な駆瘀血改善剤は「霊芝」です。
血液と血管が改善されると十分な、酸素、栄養素が各細胞、組織に届けられて機能も回復し、自然治癒力も高まり、老廃物もスムーズに代謝されて好循環につながるのです。つまり、瘀血を防ぐことは、健康へつながる近道なのです。
※「康復125歳 寿命がくるまで元気に生きる本」 NPO法人微小循環予防医学の会編 原書房から抜粋。

より微小循環についてお知りになりたい方は、微小循環研究所の下記発表資料をご一読ください。
「ストレスにおける毛細血管の変化」(PDFファイル)